大分県立芸術文化短期大学公開講座
「開けてビックリ!'アイネクライネ'」

講師:大分県立芸術文化短期大学助教授
   遠藤信一先生(楽曲分析)、川瀬麻由美先生(実技指導)

6月5日(土)

 6月5日、12日、19日、26日に開講される。受講料1000円。行くと結構な量の資料をくれた。これで250円/回とは、恐ろしく安い。有名なモーツアルトのアイネクライネナハトムジーク」の分析。内容は、和声学については結構高度なことまで解説してくれて、更に、実演付きである。非常に面白かった。次回も楽しみである。「県立の大学なので、地元に還元するということでやっている。」というのが開講式での挨拶であったが、こんなに面白い講義がタダのような費用である。
まず、和声学についての講義と第一楽章の楽曲分析
第1楽章の冒頭8小節はI度V度の非常に単純な和音で、
和音の変化も少ない。9小節目からは和音が目まぐるしく
変化していて、しかも、IV度、VI度、II度などが
出てくる。速度そのものを上げずに、加速感を持たせている。


次に、弦楽四重奏による実演つき解説


演奏中(演奏は、芸文短大の卒業生のゼーレ弦楽四重奏団の皆さん)


先生による実演指導も交えながらの説明


6月12日(土)

今日は第2楽章。前回と同様、まず、和声的分析。
「第2楽章は複雑で、話すと長くなります。
ABACAの形になっていて、Cの部分の短調が効果的です。」


次に、実演による説明。
受講生に「演奏とともに楽譜を見ずに4拍子を振ってみてください。」
一通り振らせてから、「この曲は、弱拍から始まるのです。そのことに注意して。」
筆者も、つい、2拍ずれて振ってしまっていました。
第2楽章は、第2ヴァイオリンのパートをフルートで吹いてみたりしていて、
楽譜は覚えていたつもりなのですが先生のしかけに見事ひっかかってしまいました。


演奏者は、前回と違い、芸術文化短期大学の学生さんも混じって、前回よりも若いメンバーです。


「内声と外声の関係、転回、追迫(ストレット)に注意して。」


6月19日(土)

今日は、第3,4楽章の解説です。
まず、第3楽章について、


3楽章の構造です。
「3楽章はいわゆるメヌエットです。」
「因みに、2楽章はロンド形式でした。」
ものの本によると、ABACAの形は「小ロンド形式」と呼ばれる(筆者注)。


そして弦楽四重奏での実演。
「とりあえず演奏してみてください。」


演奏です。


「3拍子ですが、弱拍から始まります。」
「弱拍を始めるときも、その曲に合わせた呼吸をすること。」


「チェロの低音の上に他の音を乗せるように。」
「演奏者は音だけで音楽を表現するのではなく、
全身で音楽を表現するように。」


「フォルテでもピアノでも、アタックの強い音と弱い音があります。」
「楔のところは、楔を横にしたような音で。」
「8文音符と8分休符の組のところは、休符に音を響かせる。」


先生も入っての演奏。つややかで豊かな音!


次は、4楽章の解説。
「4楽章は、ロンドと書いてありますが、ご覧の通り、純粋なロンドではありません。」


大ロンド形式はものの本によるとABACABAの形である(筆者注)。
確かに、この構造を見ると後ろの方がBACodaの形に変形している。


そして、演奏です。4楽章は演奏が難しいそうです。
ビオラさんが苦笑いしているのは、ちょっと間違えたらしい。


「来週は、最終回で、1楽章も含めて全体的に見て行きます。」
「皆さんにも、演奏の評論家になってもらって、チェックシートに書いてもらいます。」
筆者はまことに残念なことに、仕事で、最後の10分間にも
出席できるかどうかも分りません。残念至極!!


6月26日(土)

仕事で大遅刻しましたが、なんとか終了までには間に合いました。
終了のご挨拶は学長から


修了証書授与


ボランティアで講義をしてくださったお二人の先生方


本当に面白く楽しい公開講座でした。
次は、対位法の曲、たとえば、筆者の大好きなバッハの
平均律第一巻7番のプレリュードとフーガなんかで
同様の企画をやって頂けると嬉しいのですが。

先生方、演奏者の方ありがとうございました。