オペラの役を演ずること

 オペラ講座で重唱などをやるということは、オペラの登場人物の役を歌い演ずるということだが、これは筆者にとっては、とんでもない事(少なくとも子供のころから考えれば)だ。小学校に入る以前から、人前で何かするなどということ、特に芝居じみたことをするなどは絶対に嫌だった。小学校に行っても、とにかくそういったことにならないように、先生から指名されても逃げていたのだ。
 大人になって、人前で喋る職業に就いたので、喋る事には慣れたが、それは仕事上のことであり、人前で歌う、まして「演技する」ようになるとは驚天動地の事態だ。自分でも驚いている。
 きっかけは、「第九」である。30年近く以前に、知人から進められて、「第九合唱団」に加わった。音楽は好きで、ハーモニカ、ギター、フルート、ピアノなどに触って来たが、「合唱」などの「自分の声を人前で披露する」ことは初めてであったが、その後、メサイアなど、合唱に目覚めた。そして、それが発展してオペラに「その他大勢」で参加することになり、歌い演技することにはまって行った。そして「魔笛」のプリースターやスクラーベ役をやったときにプリースターの男声三部合唱が余りにも素晴らしく、それを三重唱でやってみたりしていた。ちょうどそのころ(2015年)に、大分県立芸術文化短期大学の社会人向けオープンカレッジで「オペラ講座」が始まり、「重唱を中心にやる」とのふれこみだったので、思い切って受講した。以降、ズブズブと嵌りこんで今日に至っている。