俳句もどき

 義兄は全国的にも有名な俳句サイト運営していて、「花鶏」という俳句結社に属していて角川書店から「風紋」という句集も出して活発に活動している俳人だ。
 筆者は俳句の素養は全く無く、単に5,7,5の文字を並べるだけだが、お遊びで作った「俳句もどき」を公開してみた。
(句の上にカーソルを置くと解説が表示されます。)
  1. 106ももうあきの日の苦笑い

  2. 夕焼けに人型に開く異界あり

  3. 忍者にも見習えとばかりアメンボウ

  4. 救う手も失くして梅雨の磨崖仏

  5. 鶯も間合い充分声を上げ

  6. 春の日々ハンドメイドが山をなし

  7. 青空に孤独の旅路飛行雲

  8. 冬晴れに裸で挑む古来稀

  9. 寒風にホッと休めの赤信号

  10. サングラス掛けて世間を見下ろしぬ

  11. 寒の路地猫と日向を争いぬ

  12. 流星の溶け込む空の深さかな

  13. 青空を切り抜く影や秋の蜘蛛

  14. 秋の日に姉の技待つ竹の尺

  15. 夕焼けを深く切り裂く陰の峰

  16. フナムシや間合い微妙に同席す

  17. お化け達集めてみてもこの酷暑

  18. 時々は浮世窺い夏の亀

  19. ブレーキに冷や汗もある夏の霧

  20. 大ミミズ探り当てたか己が道

  21. カナヘビのストップモーション刹那的

  22. 灯標も水浴びしたい灼ける昼

  23. ダンプ軍西日に構え荷台盾

  24. 歩み停め赤黄の二両夏の駅

  25. 緑陰に五百羅漢の笑い声

  26. 大木も押し花にする春の影

  27. 赤とんぼ社務所の巫女を誘い出し

  28. 秋空に周り見て引く恋みくじ

  29. 花の屑浮かぶ隙間に慣れし顔

  30. 花吹雪そっと踏み出す一歩かな

  31. 赤信号刹那を憩う秋の道

  32. もう待てぬとばかり飛び立つ蜻蛉かな

  33. 軒を出て入道雲にのけぞりぬ

  34. 照り返しあごに受け止め道急ぐ

  35. カナヘビのすらりと伸びて夏を浴び

  36. 弓引けば耳を突き刺す矢音かな(川柳)

  37. 彫刻の弓の奏でぬ春の歌

  38. 雲雀にはまだ空の高さ欲し

  39. 風切りて7段ギアの古希の冬

  40. 寒鯉の影を重ねて水清し

  41. カナヘビも小春日和の塀の上

  42. 水涸れにゴミ纏い立つ水位塔

  43. 空遥か機影を映す夕日かな

  44. 青空にパラグライダーのぶら下がり

  45. 葉の先に空を集める露の玉

  46. 絡み合う仙人草の髭の謎

  47. 行列に秋の楽屋の安堵かな

  48. 足らずとも満たされて見る十三夜

  49. 豊作を祝いて集う雀かな

  50. 水面の間合いの巧み蜻蛉浮く

  51. 気がつけばつくつくの声止みており

  52. 相席に蠅の賑わい招き猫

  53. クマゼミの鳴いて熱気に油注ぎ

  54. 葉を結ぶ糸に謀りの蜘蛛潜み

  55. 紫陽花に行く手阻まれ回り道

  56. まくなぎの誘い振り切り帰路急ぐ

  57. 母の日はカメラ片手にお茶に菓子

  58. 新緑の陰より出でて影を踏み

  59. 川鵜の眼レンズも確と捉えおり

  60. 夫婦岩ただ見つめ合う春の宵

  61. 近けれど手も繋がれず夫婦岩(川柳)

  62. 実にあらず花ぞたわわに八重桜

  63. 約束を忘れな草に訊いてみる

  64. アメンボも取り付く島の花の屑

  65. 木も草も空にも春の陽の満てリ

  66. タンカーに春の知らせの岬かな

  67. 寄り添うて霞に老いる夫婦岩

  68. たんぽぽの種それぞれに旅立ちぬ

  69. 三寒が四温寄り切る今朝の空

  70. 梅の香や鼻膨らませ仰ぎ見る

  71. 裸木を歩道に映す陽の恵み

  72. 立ち上がる街の影絵の寒暮かな

  73. 厳寒や地獄の熱の有りがたき

  74. 三日坊主諌むる凧の眼あり

  75. 振り袖の鯉も浮世に御慶かな

  76. 枯れ芝を踏みて野猫に咎めらる

  77. 客席の妻と第九を分かち合い

  78. 客席の母に第九をとどけたり

  79. エレベータドアの向こうはクリスマス

  80. 落ち葉にも間合いの美学ありにけり

  81. 名曲を終えて晴れやか舞台立つ

  82. 稲妻に行く手照らされ立ち尽くす

  83. 七色に蜥蜴の縞の流れ去り

  84. 蟋蟀も非日常の宿の夜

  85. 化石葉の秘めし伝言読む秋日

  86. 石碑にも風の供えの青き柿

  87. 盆の月闇を刻めるクレーター

  88. 盂蘭盆会猫も杓子も手を合わせ

  89. 虚ろなり首相の言葉澄みし空

  90. B29を忘れて蜻蛉の空虚し

  91. 難聴が心配になりセミの森

  92. 天牛の衣に隠す剣あり

  93. セミ去りてようやく得たりこのしじま

  94. 烏瓜思いは花の乱れ髪