そうやって、糸を巻き取って行くと、最後に下のような蛹が出てくる。
これも、生きていて元気に歩いたりすれば愛着も湧くのだろうが、煮えて死んでいると、ちと気持ち悪い。成人式の日にきれいな絹の振り袖を着て喜んでいるお嬢さん方も、ときには、このような数知れない虫の命に思いをめぐらせてみてもよいのではないかと思う。
本当は、糸を採ったあとの蛹は食べてしまうのが最も良いのであろうが、あいにく私にはそのような広い心も習慣も無い。(栄養はありそうであるが)
人間を含めて動物は、こんな、他の多数の生き物の犠牲の上に生きているのであり、亡くなった父は常々「人間はこんなことをやっていて、宗教に入って祈ったり、御布施をしたりすれば天国/極楽に行けるなどと思うのは、誠に虫のよい考えだ。天国/極楽などに行けるはずがない。」と言っていたが、誠に言い得ていると思う。